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よくある誤解

コンピューターウイルスは、名前に「ウイルス(病原体)」という言葉が入っているので、インフルエンザのように人体に感染するウイルスと混同する人が多いという笑えない話があります。さすがに今ではバカバカしいと一笑に付されることがほとんどですが、海外ではいまだにこの誤解が解かれていません。2007年にパキスタンやアフガニスタン周辺で、「携帯電話のウイルスが人間に感染すると死ぬ」という噂が流れ、大騒ぎになった事件がありました。最後には事態の収拾のために政府が声明を発表するということにまで発展してしまったので、そのニュースは日本にも配信されました。
さすがにこれは極端な誤解ですが、セキュリティに関する誤解は他にもあります。かつてウイルスというのは「.exe」という拡張子がついたファイルを実行することによって感染するものがほとんどでした。そのため、「実行形式のファイルさえ注意すればOK」というのが半ば常識のようになっていたのですが、現在ではWebにアクセスするだけで感染するものや、USBメモリーを介して感染するものなど、感染経路も多様化しています。
ウイルスについてのよくある誤解さらに、筆者が気になるのは「セキュリティソフト万能説」です。いわゆるウイルスソフトには、充実したセキュリティ機能が装備されています。これらの機能はネット上のリスクに対して有効で、正しく使っていればリスクは大幅に軽減されます。ここで重要になるのは「正しく使っていれば」ということと、「リスクがゼロになるわけではない」ということです。まず、セキュリティソフトを正しく使うというのはどういうことかと言いますと、セキュリティソフトが能力を発揮できるようにしてあげるということです。
例えばWinny(ウィニー)というファイル共有ソフトはウイルス感染の経路にもなっていて、危険性が以前から指摘されています。ウイルスソフトをインストールしているからと言って、最初から危険があると分かっているものを使うというのは、玄関に最新の鍵をかけていながら窓の鍵を開けているようなものです。
また、ウイルスは毎日のように新しいものが生まれています。ウイルスソフトもそれに対応して定義ファイルを更新していますが、まだ更新が間に合っていないウイルスに対しては、無防備に近い状態になってしまいます。Windowsであればマイクロソフト社も最新のアップデートを随時公開しているので、こちらもセキュリティ対策として有効です。ウイルスソフトだけに全てを頼るのではなく、いくつかの対策を織り交ぜることが最も効果を発揮します。