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I LOVE YOU

世の男性が持つ、女性に対する興味や願望というのは尽きないものです。ある日突然、全く知らない女性から「愛してます」というタイトルのメールが届くと、「もしやラブレターでは?」という淡い期待を抱き、メールを開きます。しかし、それが男心をもてあそぶウイルスだとしたら…。
こんなことが実際に起きたのが「I LOVE YOU」というマルウェアです。時は2000年の5月、日本はちょうどゴールデンウィークの真っ最中でした。英語圏を中心に「I LOVE YOU」というタイトルのメールがあちこちに届き、そのメールに添付されているファイルを開くと、「LOVELETTER」というマルウェアの餌食になります。この「LOVELETTER」に感染すると、そのパソコンでメールをやり取りしている人に対して無差別に“ラブレター”を送信します。そしてそのメールを受け取った人が添付ファイルを開くと感染、という動作を繰り返します。
メールのタイトルで愛を語っている割には、このLOVELETTERは凶暴なマルウェアです。特定の拡張子のファイルを上書きして自分自身のコピーを作ったり、画像や音声などのファイルを破壊するなどの行動をします。ウイルスの発信源はフィリピンで、そこに近いオーストラリアなどでは莫大な被害が出ました。日本でもこのメールを受信した人は非常に多かったのですが、幸いにもゴールデンウィーク中に海外で騒動が起き、連休明けにはすでに対処法をほとんどの人が知っていたので、日本は奇跡的に事無きを得たと言われています。
それ以前に、日本人にいきなり英語で「I LOVE YOU」と言われても、それがラブレターであるとはなかなか思いませんね。そういう意味でも日本は安心…かと思いきや、なんとこのマルウェアにはたくさんの亜種があって、世界各国の言語版が登場したそうです。その中に日本語版が含まれていても何ら不思議はないわけで、もし日本語版が早くから蔓延していたら日本でも大きな被害が出ていたことでしょう。
それにしてもデリケートな男心を突いたこのマルウェア、いくらパソコンのセキュリティを高めたとしても男心という“セキュリティホール”が存在し続ける以上、どうしようもないという印象を持った事件でした。