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欄検眼段、仁義なきキンタマ
2005年以降にかけて、ウィニーを舞台とした情報漏洩事件が多発しました。これはウィニーを舞台にしたトロイの木馬が広く蔓延したことが原因です。代表的なものに「欄検眼段」と「仁義なきキンタマ」があります。
前者は何と読めばいいのか分からないですし、後者は口に出して読むのをためらってしまう名前です。ちなみに、これらはどちらも日本で作成されて、日本で感染が広がったマルウェアです。
これらのマルウェアに共通しているのは、ウィニーで流通しているファイルに感染しているという点です。つまり、ウィニーで良からぬファイルをやり取りしなければ、ほとんどの人にとっては無関係のマルウェアです。
ウィニーで出回っている圧縮ファイルをダウンロードしてそれを解凍すると、中に拡張子が.exeになった怪しいファイルがあります。これを開く(実行する)ことによって作動し、恐ろしい動作をします。
この恐ろしい動作というのもウィニーならではで、感染したパソコン内にある写真や使用している画面のスクリーンショット、他にはメールなどが勝手に共有されウィニーを介してばら撒かれます。ウィニーによる情報漏洩が相次いだのは、まさにこれらのマルウェアの仕業です。
しかし、これらのマルウェアが恐ろしいのはこれだけではありません。「欄検眼段」や「仁義なきキンタマ」のように、それぞれのマルウェアの名前をつけたファイル名で流出データを公開するので、ウィニー上で「欄検眼段」「仁義なきキンタマ」というキーワードで検索すると、大量の流出データがヒットします。後はこれをダウンロードすると、他人の秘密が暴かれるというわけです。
図は「欄検眼段」というキーワードで検索をしてみた例です。個人の秘密に関わるデータを思われるファイルがたくさんヒットしているのが分かります。
実際にカップルの秘め事が写真とともに流出してしまい、それによって不倫が発覚したカップルの話は大変有名です。その事件名は敢えて伏せておきますが、その流出原因は女性側のパソコンでウィニーをやっていたところ、欄検眼段に感染して写真やメールなどが一斉にばら撒かれたというものでした。
もっとひどいのは、カップルの秘め事が仁義なきキンタマで流出し、その張本人がSNSサイトの「ミクシィ」上の該当人物と関連付けされてしまい、本人の実名や住所までもが発覚してしまった事例です。
こうなると生活への致命的なダメージは避けられないので、ウィニーを使う方は、それだけのリスクがあるという認識を持った上で利用して頂きたいと思います。